「健全に健康であること」


Bonsoir、ノタキラです。

今日は、男女の掛け合いの作品をリリースします。

男女の考えの違いは、人類の永遠のテーマだなぁとしみじみ思います。←何があった?

それでは、どうぞ!

「健全に健康であること」

「あなたはもっと健康的な生活を送った方がいいわよ」

「なんでそんなことを言うんだい。僕は十分健康的な生活を送っているじゃないか。しっかり食べて栄養を摂っているし、運動だってジムに週2日は必ず行っている。夜も日付が変わる前に寝て、朝はきっちり7時前に起きる。ほとんど毎日、8時間睡眠することができているじゃないか。それのどこが健康的じゃないって言えるんだい」

「そういうところよ。確かに身体はいわゆる健康的な生活を送っているかもしれない。でも、よい習慣っていうのを頑なに守ろうとしているところが健康的に見えないの。何かにとりつかれているみたい。すぐにムキになるところも不健康よ」

「君が言っているのは、気持ちが健全じゃないってことかい。そんなの誰にだって言えることじゃないか。身体が健康でなければ健全な判断や考えはできないんだ。少なくとも僕自身においてはね」

「それだって決めつけみたいなものでしょ。本や論文で正しいとされていることばかり信じて、普段から見てくれている身近なひとの声、そして自分自身の内側の声にも耳をかたむけることがないじゃない。そのうち、理論が身体を蝕んで身動きができなくなっちゃうんじゃないの。私は心配しているの。ほんとうよ。なんだか怖い。あなたがだんだんあなたらくしなくなっていくのをただ指を加えてじっと見ていなくちゃならない気がして」

「君が僕のことを思ってくれているのは、ありがたいことだと思うよ。でもね…」

「でもね、じゃないわよ!『心配してくれてありがとう。僕の生活を改めるよ』それだけが私が求める返事なのよ。あなたは変わらないといけない。もう破滅へのあゆみを進めているの。今引き返さないとどんどん引き返すことが難しくなるわ。いまだってきっと以前の溌剌とした雰囲気を取り戻すのがとっても難しいはずよ。だからお願い戻ってきてちょうだい」

「僕が仮に変わってしまったとしてももう後戻りなんてできないよ。僕はすでに経験してしまったんだ。前とは違う生活や考え方を。僕自身はまるっきり変わってしまったなんて自覚はない。日々の積み重ねで成長していると思っているし、これから成長していままでと違う自分になっていくことをむしろ楽しんでさえいる。これのどこが健全、いや健康的じゃないって言えるんだい。君だって過去に囚われ過ぎているように思えるよ」

「健全に健康であること」は、そんな感じ。

fin.

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