Bonjour!お久しぶりです、ノタキラです。
今回は、大学生の頃のレポートを投稿します。(ネタがなくなってきたわけでは、ないですよ、たぶん。いや、きっと。)
過去の自分が書いた文章を読んで、感化されるノタキラです。よく書けてる(笑)書いたことって忘れてしまうものですね(汗)。。。温故知新で、語学の勉強を頑張っていこうと思う次第でございます。
今回は、いままでのエントリーの中で最も長文ですが、語学の勉強のヒントになると思いますので、お付き合いいただければ幸甚です!
それでは、どうぞ!
「効率のよい外国語習得とは―大学生の視点から考える」
選んだ本:白井恭弘『外国語学習の科学―第二言語習得論とは何か』岩波新書
はじめに
このレポートでは、私のような大学生が外国語を効率よく学ぶにはどうしたらよいのだろうかということについて考える。
この問は、現代の大学生なら誰もが一度は考えたことがある問である。大学生が外国語を学ぼうとする理由は、単に外国語を話したいという自発的な欲求から、海外旅行に行く際に外国語を使える方が便利という実用的必要、就職活動において外国語を習得していることが有利に働くという他の目的達成のための手段などの理由が挙げられ、そのどれが外国語を学ぶ上で大きな理由になるかは人によって異なっている。
しかし、私のまわりを見る限り、外国語学習それ自体が自分の考えを深めることに繋がるからといって自発的に勉強をしている人は少ない。外国語を習得したいと望んでいる大学生のうち圧倒的な大多数は、外国語を習得していたほうが就職に有利で、就職後も給料がよくなるという見通しのもとに外国語を勉強している。私自身は少数派の自発的な学習理由をもっていないわけではないが、やはり多数派のように、外国語を学習することにおいて将来の仕事を強く意識していることは否定できない。
よって、このレポートでは自発的に趣味として多くの時間を外国語学習に割ける大学生ではなく、外国語習得をあくまで手段として考える大学生を対象として、外国語を効率よく学ぶにはどうしたらよいかについて考えていきたい。
もちろん、この考察を通してすぐに効率のよい学習ができれば理想的だが、そこにまで至るのはなかなか難しい。第一、それが簡単にわかれば多くの大学生は今頃外国語学習に悩んでいないし、外国語学習と冠した本がこれほどまでに巷にあふれてはいないだろう。
これらのことを踏まえ、このレポートの到達目標は、文法・リスニング・読解など何をしてよいかわからず途方に暮れるような、暗闇の中をさまよう外国語学習を卒業して、外国語学習に対して、ある一定の学習効果が期待できる指針を示すこととしたい。
言語習得に成功する要因の分析
まず、言語習得に成功するにはどのような要因が重要になるかについて考える。『外国語学習の科学―第二言語習得論とは何か』の中では、言語習得に成功する上で重要となる要因は三つあり、それは
1.学習開始年齢
2.外国語学習適性
3.動機づけ
だという。ここでは、この三つの要因のそれぞれについて、大学生にはどのようなことが言えるかを見ていく。
1.学習開始年齢
最初の「学習開始年齢」については、本のなかでは幼少期に始めたほうが言語習得の成功率が高まると説明されている。
大学生に関して言えば、大学生として幼少期を迎える人はまずいないので(このレポートでの大学生は20歳前後の年齢の人を想定しているので、飛び級によって大学に進学した小学生や、一度会社などに就職してから大学に進学した50代のオジサンは含まない)、「学習開始年齢」はもう決まってしまっているか、今すぐ学習を始めるべきという結論に至るだけである。
よって「学習開始年齢」についてこれ以上深く考えても、効率的な学習は見いだせないだろう。
2.外国語学習適性
次に「外国語学習適性」について考える。ここでは本の中で紹介されているように、言語習得における適性を文法分析能力、暗記力、聴き分け能力に分けて考える。外国語学習においては、その自らの適性に合った方法で学習を進めるのが最も習得への近道であり、それこそが効果的な学習である。適性をまったく無視して学習していたのでは、本来時間をかけなくてよい項目に時間をかけてしまい、言語学習に途中で挫折してしまう可能性すらある。
では、大学生はどのようにすれば自らの適性がわかるのだろうか。まず手っ取り早くある程度の適性の傾向をつかむには、語学試験における文法・リスニング・読解などのそれぞれの試験の得点を見ればよい。もし、文法分析能力があるのならば、文法問題の部分の点数は良いだろうし、また逆にリスニングの部分の点数が高いなら、聴き分け能力が高いはずである。
ただし注意しなければならいのは、適性をみていく上で、必ずしもいつも適性=点数とならない場合があるということである。適性と点数が対応しない事例としては、試験対策のために、たとえば文法問題の学習に多くの時間を割いたということが考えられる。多くの時間を費やした部門の問題は当然ながら点数が高くなる傾向にあり、費やした時間に対する効果が悪くても点数が高くなることもあり、本当にその部門において適性があるのかが曖昧になってしまう。
では、この曖昧さをより正確なものへと変え、ある程度信頼のおける言語習得の適性を見出すにはどのような方策を考えればよいだろうか。
私は、それにはほとんどの大学生のもつ受験勉強における英語学習の経験が生かせるのではないかと考える。受験勉強はかなりのまとまった時間を英語学習に費やした経験である。その経験は今、振り返ってみることのできるものであり、経験からは費やした時間に対する試験結果という費用対効果を把握することもできる。
例えばリスニングの対策には30時間しか費やしていないのに、満点だった経験などは、聴き分け能力に適性があることを示すいい事例である。言語習得における適性を見出す上では、過去の経験と今の試験の得点を照らし合わせて考えてみることが重要となる。
補足になるが、適性を考える上では、ある分野の勉強を精神的な苦痛を感じないで続けることができるということも適性の重要な要素であると言える。
3.動機づけ
言語習得成功要因の最後は、「動機づけ」についてである。外国語を学ぶ大学生にとっては、この最後の要因の「動機づけ」に言語習得の成功がかかっているといっても過言ではない。
なぜなら、すでに述べたように「学習開始年齢」はもう決まっているか今すぐ始めるかしかなく、「外国語学習適性」それ自体は変えられるものではなく見出すものなので、「動機づけ」をどう工夫して設定するかが成功を左右するからである。本の表現を借りれば、「道具的だろうが、統合的だろうが、どちらでもよいので、いかに自分を学習動機が高まるような状況に持続的におけるかが外国語学習成功のカギ」といえる。
外国語を学ぶ上での動機は、将来高い収入を得たい、よい成績をとりたい、海外旅行で話したい、他人に自慢したいなどの欲求を満たそうとすることによって生じる。外国語学習成功のカギは持続的に動機を高めることであるので、動機をうまく設定してそのような状況を作りだすことが重要となる。
そこで、私は長期的欲求と、短期的欲求を設定し、この二つの欲求を満たすために外国語を学習すると考えることを提案する。
例えば、長期的欲求を将来仕事で高い報酬を得ること、短期的欲求を学校の成績で良い評価を得ることとしたとしよう。短期的欲求を満たすには、今、外国語を勉強しなければならない。そして、勉強の成果で良い成績がとれたとする。そうしたときは、またさらなる短期的欲求の海外旅行で現地の人は話したいという欲求を設定する。新たな短期的欲求を満たすには、再び今勉強しなければならない。
このようにして段階的に短期的欲求を満たそうとすることで学習は継続し、それと同時にこれらの短期的欲求が最終的には長期的欲求の達成にも繋がっていると自覚することで、より強い持続的な動機づけが可能となる。
学習方法
学習方法に関しては、アウトプットとインプットということを注目して考える。本の中では「インプットが言語習得をすすめる上での必要条件」であり、「インプットの理解とアウトプットの必要性」ということが言われている。
私はその中でも特に重要な視点は、アウトプットはインプットしたものの中からしか行うことができないという点にあると考える。インプットが行われていなければ、アウトプットはできないということであるから、まずインプットをするべきなのである。
よってインプットの重要性を考慮して、外国語の効果的な学習方法について述べる。インプット学習の際に、気をつけるべきポイントは大きく分けて二つで、それは”精密な学習”と”関連を用いる”ということである。
一つめの精密な学習だが、特にそれは文法事項の学習で気をつけるポイントである。
例えば、フランス語のsavoirとpouvoirはどちらも日本語では、「…することができる」と訳される動詞なのだが、savoirは生まれつきや学習の成果などで能力的にできることを表す一方、pouvoirは外的な状況、条件のもとでできることを表している。「泳げない」ことを表す場合に金槌を意味するのであれば、savoirを用いるだろうし、風邪を引いて状況的に無理な場合を意味するのであれば、pouvoirを用いるのである。
こうした些細に思われる文法事項も適用を間違えば、文章の読解能力を左右したり、仕事で外国語を用いる際にニュアンスの違いからトラブルを招いたりする。面倒に思われる細かい所にまで気を配る姿勢は、長期的に見れば後で学び直す手間を省き時間短縮につながる。
二つめの関連を用いるということは、効率的な学習の鉄則とも言えることである。日本語でも「本」に関連したものを思い浮かべろと言われれば、雑誌、ノート、辞書、教科書などなど様々な他の単語が思い浮かぶはずである。このグルーピングによる記憶の定着は外国語にも応用でき、また単語レベルでも利用できる。「文学」は英語ではliteratureだが、その形容詞はliteraryであり、またliteracyは「読み書きできる能力」を示すなど派生して覚えることができる。
まとめ
大学生にとって効率のよい外国語習得とは何かについて今まで述べてきた。効率のよい外国語習得を達成するには、まずは自らの適性を見極め、長期的欲求と短期的欲求を満たすための動機づけを行いながら、適性にあった勉強を持続的に行っていくことが重要であると要約できる。
さらに学習において重視すべきはインプットの方であり、特に精密な学習と関連を用いた暗記をするとより効果的な学習になると述べた。これらの点を踏まえて学習すれば、外国語習得に対する迷いが軽減され、学習自体がより効果的なものになるはずである。
「言語社会学 中間レポート」は、そんな感じ。
fin.